「タンゴ」カルロス・ガビートとの思い出

ANGO

カルロス・ガビートのクラスを
ブエノスアイレスで受講した時

彼はステップをする前に

「TANGO」

と掛け声する
そうすると ある姿勢をとる
それはタンゴ踊るアブラッソをとった姿勢。

「TANGO」

そいった後 彼はゆっくり、丁寧にと動きだす。
つま先を意識してゆっくり動く。
この日は回りながらクロスを入れる
彼独特のサリーダだった。

ガビート
彼は独特なスタイルだ。
唯一無二彼のオリジナル。
そのスタイルはタンゴを
とても表していた。

彼とはそれほど付き合った期間は
長くなかったが濃い思い出が幾つかある。

一番最初の思い出は
サロン カニングのトレイでの出来事だ。

トイレで用を足しているとガビートが入ってきた。
そして彼は私にこう話しかけてきた。

「君のパートナーの足はとても柔らかい」

嬉しかった。こんな日本人が踊っているのを
じっと見ていてくれたこと自体、嬉しかった。

それからとても仲良くなった。
私が日本人だからかもしれないが
ミロンガでは挨拶をし何かと声をかけてくれた。

ガビートが
スンデルランドで踊ると聞いて出向いた。

この日3組のカップルが踊った。
ガビート&マリア
ジェラルディン&ハビエル
カリート&ロッサ
という錚々たるメンバーであった。

最初に3組が「カフェドミンゲス」を踊った。

音楽がかかり 3組が順々にフロアに出て踊り始める

そして急にフロアが暗くなる。
フロアの真ん中でガビートのところに
サスライトが差し、二人が浮かび上がる。
そのまばゆいライトの中で
彼はいつものアブラッソのスタイルで佇んでいる。
ふと我に帰ると3組が踊り終えていた。
フロアはいつものごとく体育館のように明るかった。

今度はイデアルで踊ると聞いて追いかけた。
お客さんもいっぱいで蒸し暑い夜だった。
一曲目は Tanturiの「Una Emoción」
紹介された二人はゆっくりと踊り出した。
一歩一歩と二人が歩くと 急に風が吹き出した。
そして マリアの髪をなびかせた。
イデアルの蒸し暑さもいつもまにか消えた。

その夜 今までガビートと
二人の写真を撮ってないことに気がつき
持ってきていたビデオカメラで写真を撮った。
とても嬉しかった。ガビートは
「踊るんだから早くしてくれよ」
とジョーク交じりに笑顔で応えてくれた。

しかし、そのビデオは1〜2週間後
ミロンガで泥棒に取られてしまった。
その後 ガビートをミロンガで見かけることがなかった。
彼は翌年7月に亡くなった。
彼とのタンゴの思い出は強烈に濃く
肌についた火傷のごとくしっかりと焼き付いてる。

GYU

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