【No.40】タンゴの歴史に触れた夜!

ブエノスアイレス ニュース

今年最後のニュースに何を書こうかと思案していましたが、この話題に決めました。

12月16日から遡ること約1週間、この話が急に舞い込んで来ました。

カフェ・トルトー二でのデモの話でした。
カフェ・トルトーニといえば、ブエノスのタンゴ愛好家は、知らない人がいないほど有名なカフェで、その昔、カルロス・ガルデルも常連だったところです。

そこで、どんな催し物かも聞かずにOKしました。

当日、開場30分前に現地に到着すると、既に今夜の歌手が音響チェックをしていました。

彼女は、とても高齢で、ステージに上がるにも介助が必要でした。
そんな彼女に挨拶をして、ギターリストと共にその夜に踊るタンゴ2曲をさらさらと1回づつリハーサルしました。

そして、すぐ本番です。
彼女の声は、歳のわりに張りのある声で、音程はいまいちでしたが、長年歌ってきたその歴史を物語っていました。

私とパートナーのマリアは、その音楽を感じるままに踊りました。

コンサートの後、少し彼女と話をする時間がありました。
やはり、東洋人の私が珍しいようで、彼女の方から、どこの国の出身なのかとか、今どこに住んでいるのかとか、根堀葉堀尋かれました。

その中で彼女から10年くらいペルーに住んでいたことも聞かされました。
そういえば、今夜のお客様でペルーから来た家族がいると知ったら、彼女はしきりにステージの上から話かけていました。

 

こうしてコンサートは終わり、私の初めての体験、カフェ・トルトーニでのデモは終了したのですが、彼女を紹介する言葉の中で、あのアニバル・トロイロの楽団で歌っていたと言う言葉に興味を引かれ、家に帰ってから彼女のことをインターネットで調べたら、びっくりです。

いつもタンゴの歌詞や楽曲、そして有名な音楽家のことを調べるのに使っている、”TODO TANGO”に載っているではありませんか。そして、その経歴について読んでいると、2009年に発表された”El Último Aplauso”という映画の主役のひとりだったのです。

これは、Germán Kral(ヘルマン クラル)という監督の作品で、ポンペイシャ(私の家からすぐ近く)のバーを経営していたEl Chino(エル チノ多分ニックネーム)という歌手とその仲間が夜な夜な繰り広げるタンゴの世界(音楽)を描いたドキュメンタリータッチの映画です。

いい忘れていましたが、彼女の名前は、Cristina de los Angeres(クリスティーナ デ ロス アンヘレス)と言います。

この映画の中の彼女は、まだ若く(10年くらい前だと思います)、その歌声は、とても力強く、張りがありました。

もちろんコンサートで何曲歌っていた彼女にも感動させられましたが、映画の中の彼女には、もっと感動させられました。

もし、この映画をコンサートの前に見ていたら、私の踊りも少しは変わっていただろうと思います。

これは、とてもおもしろい現象ですが、演奏者の背景を知ると踊りが、変わるのです。もちろん16日に踊った瞬間は、その聞こえてくる音楽を感じ、その場でできる最大限のことをしているつもりですが、演奏者の背景を知ることによって踊りは変わります。

具体的には、今回は、背景を知っていれば、もっとメリハリの効いた踊りをしたように思います。

こうした経験が、私をもっともっとタンゴの深いところに連れて行ってくれるような気がします。

今年は、この年末にタンゴの歴史の一片に触れられた気がします。

これからも、新たなる出会い、新たなる発見を求めてこのブエノスで踊って行きたいと思います。

 

追伸
El Último Aplausoという映画は、心温まるタンゴの映画ですので、是非1度ご覧ください。

YoutubeでEl Último Aplausoで検索してください。

先日のカフェ・トルトーニでの様子は、こちらです。
https://youtu.be/hPVB8D9O1lI

TODOTANGOの情報は、こちらになります。
http://www.todotango.com/creadores/biografia/1589/Cristina-De-Los-angeles/

 

 

ブエノスより