【No.36】タンゴの繁栄!

10月も半ばに突入し、あと半月で大学の後期試験が始まります!
そこで、時間を見つけては、授業内容を整理する毎日です。
ですので今回は、大学の授業内容からタンゴの時代(スペイン語のEpoca を時代と訳しました)区分についてお話したいと思います。

時代区分といっても区分対象や研究者によっていろいろあるようです。

例えば、リズム王の異名を取ったファン・ダリエンソだけをとっても彼の功績を3つの時代に区分した記述があります。

1928 – 1938 第1 黄金期、
1938 – 1957 第2 黄金期、
1957 – 1975 第3 黄金期

個人を扱った場合、その時代の区切りは、オルケスタの構成員の入れ替え等の要因が多いようです。

 

タンゴの時代区分

それでは、タンゴ、特に踊りの時代区分はどうなっているのでしょうか?
大学での時代区分についてお話させていただきます。

 

第1期 (1860ー1890) コレオグラフィア(振り付け)の中止

この時代は、まだ、音楽なしに決められた振り付けを踊っていたところからはじまり、タンゴの芽生えの時代である。

タンゴという言葉も登場しておらず、その頃の音楽(ワルツ、ポルカ、マズルカ、チョティス、パソ・ドブレ、クワドリシャ、ハバネラ、ミロンガ等)で決まった振り付けを踊り始めた時代。

この時代の終頃の80年代にようやくタンゴの原型が形成されつつある。

 

第2期 (1890ー1920) 平面のコレオグラフィア

この時代は、タンゴの誕生の時代である。

この時代の踊りの特徴は、両足を床に付けた状態でフィグーラ(振り付け)を描くものであった。タンゴ特有のメディアルナやオーチョといった基本的なフィグーラが、設計された。

この時代の後、フィグーラの動き(ムーブメント)が、より正確に定義されていく。

1905年以降、初めてタンゴを男女で踊るようになったが、この時代の組み方(アブラッソ)は、お互いの体の間には距離を置き、頭と頭で踊るようなもので、ティト・ルシアルド(Tito Lusiardo)の踊りに特徴づけられる。

 

第3期 (1920ー1940) 空間のコレオグラフィア

この時代に入り、踊り手の上半身の設計が確立していく。
そして、現代のタンゴの踊りに通づるエレガントなものとなっていく。

ただ踊るのではなく、どのように踊るかが注目されるようになり、踊りにおける美的革命が進む。

これによりどのような踊り方をよしとするかの定義もなされるようになり、踊りにおけるハーモニーなどが生まれた。

このような踊りは、カチャファス(Cachafaz)に代表される。
彼の姿勢は直立を保ち、上体は女性に対して平行に立ち、2人の距離は以前よりも近くになった。

さらに、ヨーロッパからのタンゴの逆輸入により、サロンで踊られるようになり、サロンタンゴ様式の原型を形成する。

 

第4期 (1940ー1950)黄金時代

この時代は、劇的にタンゴ人口が増加した。

これにより数量的な革命が進んだが、踊りの質的な革命ではなかった。
そこで、タンゴの動きや技術に階級(難易度クラス)付けする思想が進んだ。

これによりタンゴの踊りにおける尺度が明確化され、踊り手は、そのクラスが上がることにより、より完成度が高まったと認識するようになった。

 

第5期 (1950)

この時代は、タンゴにおける最後の革命が起きた。
それまで床にあった足を振り上げるような動きが加わった。

これにより、以前にはなかったガンチョのような膝の動きが設計された。

 

第6期 芸術的な投影の時代

それまでのタンゴは、2つの起源からなっていた。

1つは、上流階級による社交的文化として、また、もう1つは、各地域に根付いた庶民の踊りとしてである。

しかし、この時代になるともう一つの要素が登場した。
タンゴがステージに上げられたのである。

この時代と表現したが、他の時代とことなりこの期に属する年月は長く、第2次世界大戦を基に、概ね2つの時期に分類できる。

最初の時期は、第2次世界大戦までの時期で、ヨーロッパで湧き上がった。

多くのタンゴダンサーが、ヨーロッパに渡り華麗なステージを繰り広げた。
それによりヨーロッパにおいてタンゴに対する熱狂が、巻き起こった。

国際的なタンゴ(タンゴ・インターナショナル)は、そのアブラッソ(組み方)、姿勢が完全に異なり、ワルツのそれに近いものだった。

第7期 「タンゴ アルヘンティーノ」の時代

ステージタンゴの1つとして世界を駆け巡った「タンゴ アルヘンティーノ」というタンゴショーがあった。

このショーは、タンゴの踊りの歴史をそのまま綴ったものであり、世界中で高い評価を得た。

ブロードウェイにおいて半年間その劇場を満員せしめた。
以下の踊り手がその一役をになった。

Juan Carlos Copes y María Nieves,
Virulazo y Elvira,
Gloria y Eduardo,
Nélida y Nerson,
Mayoral y Elsa María,
María del Carmen y Carlos Rivarola,
Los Dinzel(Gloria y Rodolfo),
Naanim Timoyko.

この時代区分につては、下記参考文献の著者であり、私が今通っているタンゴ大学の創立者であるロドルフォ・ディンゼル氏が定義したもので、第7期は、彼が出演していたショーのことなので、一般的ではない部分もありますが、1つの視点としてご紹介させていただきました。

また、この流れの中で、記述されていないことですが、アルゼンチンにおいて1955年に樹立した軍事政権が大きく影響していることは明確だと思います。

第4期、つまり黄金期がなぜ終わったのか?
その理由の1つはこの軍事政権への流れのためでしょう。

そして、第6期のタンゴダンサーの多くがヨーロッパへ流出していったのも同じ理由と考えられます。

こうした過去の歴史から学べることは、タンゴは平和な時代(経済的、政治的に安定した時代)に流行するということではないでしょうか?

それは、ここアルゼンチンのみではなく、日本でのタンゴの流行にも当てはまることだと思います。

これからも世界中でタンゴが流行る時代がくることを願っています。

 

参考文献

時代区分について
El Tango una danza “Esa ansiosa búsqueda de la libertad” Rodolfo Dinzel
Juan D’Arienzo

Wikipedia : ファン・ダリエンソ

Tito Lusiardo Youtube
https://youtu.be/3zaH-dXxeqU

El Cachafaz Youtube
https://youtu.be/5Yv9V-3APpc

 

 

ブエノスより

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