[No.62] 骨の続き!

ブエノスアイレス・ニュース No.62                   2017年11月18日

骨の続き!

 今年の気候は、おかしい様です。また13度(夜の気温)という寒さに振るえています。

 さて、ブエノスアイレス・ニュースNo52でご紹介した内容の続編をお約束どおりお届けしたいと思います。後期の授業も終わり、ようやくこの講義の全容が見えてきました。No52と合わせてご覧頂くと、分かりやすいかと思います。

 タンゴの動きを記述するポイントは、全部で16。このそれぞれの項目をムーブメントに区切り、その動き始めから終了時点までを時間の流れと共に記述していきます。例えば皆さんお馴染みのサリーダ(特に男性の後退から始まる場合)というステップ、このステップは8つのムーブメントから出来ています。そして、動き出す前のアブラッソした状態(ポジション・ゼロと呼んでいます)を含めて9つのムーブメントに分解します。そして各ムーブメントの開始時点と終了時点を明確にします。例えば最初のムーブメントは、ポジション・ゼロから男性左足に体重を移し、男性右足を後ろに伸ばし、体重移動を行い、右足に100%体重が乗った状態までとします。すると女性は、右足に体重を移し、左足を前に伸ばし、体重移動を行い左足に100%体重が乗った状態までとなります。

 つぎに16の記述ポイントをご紹介します。

1.     上体部分のスペースの関連 (男女のアブラッソの角度 45度、90度、並行)

2.     中間部分のスペースの関連 (男女の腰の方向と位置関係)

3.     腰 (太股の動き:水平方向、前後方向、左右方向)

4.     太股への接触 (接触方法、接触位置:前、後、内側、外側)

5.     膝 (脛の動き:水平方向、前後方向)

6.     脛への接触 (接触方法、接触位置:前、後、内側、外側)

7.     足首 (足の甲の動き:前後方向、水平方向)

8.     足への接触 (接触方法、接触位置:前、後、内側、外側)

9.     侵入 (相手のスペースへの侵入方法:スペース、通路)

10.   ピボット (自己に置ける回転の方向と角度)

11.   床の踏み方 (前方、後方、左右方向への踏み方)

前方:外側ーつま先ー指の付け根ー全体

後方:つま先ー指の付け根ー全体

左右:内側ー指の付け根ー全体

12.   下部のスペースの関連 (男女の足位置の関連)

 

 

13.     体重移動 (体重移動のタイミングと配分:50%、100%など)

14.     床上の足の動き (左右10通りずつ)

 

 

15.      床上の足の動きにおける接触点 (つま先、内側、外側、全体)

 

 

16.     カップルの中心点の動きの方向 (前後左右)

 

 

これらのポイントに従って、9つのムーブメントについて分析するとサリーダの動きの記述が完成するわけです。私が分析した結果のサンプル(第1ムーブメント)を載せておきます。

 

 

皆さんがこれを見ても、何が何だか訳が分からないと思います。それは、16の記述ポイントは、すべて記号化されているからです。例えば1番目のポイントアブラッソの角度には3通りあります。それぞれ”P1:45度、P2:90度、P3:並行”といった感じです。16のポイントすべてに準備された記号と意味を1年かけて学習したわけです。

さて、ここまで大学で習った通りにご説明してきましたが、先生からこの説明をすべて聞き終わった時点で、ロドルフォ・ディンゼル氏がどのくらい”タンゴオタク”であったかは容易に想像がつきました。それと同時に、直感的に「実用には耐えない」ということも実感しました。なぜならば、この分析表を見てもムーブメントがイメージできないし、この分析表に書かれたムーブメントをやってみろと言われても、忠実に再現するのは、とても難しいと思います。さらに、その人が踊っているタンゴのスタイルによって変化する要素(例えば足の着き方など)を多分に含んでいるからです。ただ、16の記述ポイントの内のいくつかは、皆さんが新しいムーブメントを覚える時に、どういうポイントを見て覚えればよいかの参考にはなるかもしれません。しかし、結論を申し上げると、ビデオという文明の力を使用した方が、遥に分かり易いということを実感していただけると思います。そして、やはりムーブメントは、何回も練習して体に覚えさせるしかないようです。これが、この授業を終えての感想です。「ここまで細かく(項目の妥当性は別として)分析することを考えた人がいた」ということを頭の片隅にでも残しておいて頂けたら幸です。

 

ブエノスより

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